こんにちは、こうも毎日暑いとじわじわと身体に堪えますね。
今回は”賃貸アパート・賃貸マンションを建てた後で部屋が埋まらず困っている”
というお話です。
実は、そのようなご相談をいただくことは結構あります。体感、月2~3件ぐらいでしょうか。
これから賃貸経営をご検討されている方は、この記事を参考にしていただいて失敗しないよう気を付けてくださいね。
◆ 新築の賃貸マンションの1階が2年以上入居者が決まらず困っている ◆
【ご相談物件概要】
・東京メトロ有楽町線、副都心線「千川駅」徒歩5分
・大手ハウスメーカー施工
・重量鉄骨造3階建てマンション
【ご相談内容】
・1階に1LDK(40㎡)の部屋が4部屋あるが、新築から2年経っても1部屋しか入居していない(2~3階の部屋は竣工後3カ月で入居者が決まった)
・建築したハウスメーカーに相談しても「様子を見てもらうしかない」の一点張り
・サブリース(一括借り上げ)契約しているが、このままだと家賃を大きく見直さないといけなくなるかも知れないと言われた
◆ 考えられる原因 ◆
人気の路線である有楽町線・副都心線の最寄り駅から徒歩5分という立地条件は、賃貸経営する上で非常に恵まれた条件ですので、建物の立地が悪いということは無さそうです。そこで事業計画、特に1階の建築プランに何か問題があったのではないかと思い、1階4部屋の間取りと、どうしてその様なプランにしたかを尋ねたところ、
「ハウスメーカーから ”この地域はワンルーム・1Kの部屋が多く供給過多気味なので1LDKにしましょう”と提案があり、言われるがまま進めました」とのことでした。
確かに、このエリアにおける弊社の市場調査でも、ワンルーム・1Kの賃貸物件が余り気味であるという結果が出ていました。しかし、いくらこのエリアでワンルーム・1Kが余り気味だといっても、もし、相談を受けたのが私どもだったら、1階に40㎡の1LDKを配置することは無かったと思います。それはなぜか?
- 1LDK、40㎡という間取りは子供連れのファミリーが借りるには狭い。メインターゲットは共働きで子供がいない2人暮らしのカップル。一部、荷物が多い30代以上のキャリアOLなどもターゲットに。
- しかし、1階は防犯面や日当たりなどの問題で女性に不人気。生活にゆとりのある共働きカップルや、40㎡の部屋に一人で住む高収入のキャリアOLがわざわざ1階を借りる可能性は低い。
からです。では、どうしたら良かったのか?
1階のメインターゲットは
- 騒音が気になる小さい子供連れのファミリー
- 防犯面より賃料優先の比較的若めの男性
- 階下への昇り降りがしんどい老人
であることから、50㎡以上の2LDKまたは賃料設定を下げて1Rか1Kにするのが良かったのではないかと思います。今回のケースは事業計画の段階で想定する入居者のターゲット層を見誤り、部屋割り(間取り配置)を失敗してしまいました。
◆ ではこれからどうしたら? ◆
建てた後でそれを変更する(手を加える)のは、構造面・費用面において非常に難しいです。例えば1階だけターゲット層を変え、1LDK×4部屋 ⇒ 1K×6部屋 とし家賃を抑えて貸せるようにリフォームすると仮定します。
そうすると、玄関や水廻り設備の追加に加え、エアコンや給湯器等の配管のやり直し、貸室間の壁を界壁(主に遮音に配慮した構造の壁)にしなければならないなど様々な工事が発生し、多額の費用を要する他、条例違反になる可能性もでてきます。
そういったことから、現実的にはルームシェアに対応できるよう、間取りを1LDKから2Kに変更する方法がBESTなのかも知れません。この場合は、部屋の中での間仕切りを変えるだけなので、費用を抑えてリフォームすることが出来ます。共働きのカップルから、家賃を抑えたいルームシェア希望の入居者へターゲットを変えるのです。ルームシェアは一人が出て行ってしまうともう一人の入居者も退去してしまう確率が高いなどデメリットもありますが、ずっと空室が続くよりは良いと思います。
◆ ご相談者からひとこと ◆
「大手のハウスメーカーに任せておけば大丈夫」と信じ切っていた自分が悪いのだと今となっては後悔しています。建てる前にもっと自分で調べておけば良かったと思う反面、調べたところで素人に何が分かったのだろうかという気もします。
後3年早く御社に辿り着いていたらと思いますが、後悔先に立たずなので、いただいたアドバイスを元に今から出来る事を検討したいと思います。また、ご相談させてください。