こんにちは、今回は「遺言書を保管してもらえる制度」についてのお話しです。
◆遺言書を法務局に保管できる自筆証書遺言書保管制度◆
本人が遺言書の全文、日付、氏名を自署し印を押したものを自筆証書遺言といいます。
一般的に自宅などで保管されることが多い自筆証書遺言ですが、遺言書の紛失や改ざんなどを巡って、遺言者の没後にトラブルが起こる事案が少なくありません。
そのため、相続に関して余計な手間を避けるため、最近では申請すれば法務局で保管してもらえる『自筆証書遺言書保管制度』を利用する人が増えました。
この保管制度は、自筆証書遺言を法務局の遺言書保管所で預けるものです。申請費用は1件当たり3,900円で、預けた遺言書は、全国のどの遺言書保管所でも閲覧できます。モニターで閲覧する場合は、1回につき1,400円の手数料がかかります。保管料・手数料ともに、意外と安いと思われた方も多いのではないでしょうか。
また、保管所に保管されている遺言書は、遺言書保管申請の撤回をすれば返還を受けることも可能です。撤回書を作成し、撤回の予約をして原本が保管されている保管所に行き、必要な手続きをすると、遺言書の保管申請を撤回することができます。
なお、この遺言書の保管申請を撤回することは、遺言書の効力とは関係ありません。
◆公的な遺言制度として『公正証書遺言』もある◆
一方『公正証書遺言』という別の公的な遺言制度もあります。遺言者本人が、公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で延べ、それが真意であることを公証人が確認したうえで文章にし、証人と遺言者に確認をして作成します。手数料は1万6,000円からで、財産額に応じて費用が変わります。
公正証書遺言の原本は、必ず公証役場で保管されます。そのため、破棄や改ざん、紛失などのトラブルはおきません。
このほか、遺言書の内容を秘密にしておきたいときには「秘密証書遺言」が利用できます。内容を秘密にしたまま、遺言があるということだけを証明するもので、遺言者が作成した作成した遺言書を封入し、公証役場で公証人と証人2名の前に提出、内容を秘密にしたまま自分の遺言書である旨と、氏名・住所を申述します。
なお、遺言書の内容を変更したい場合は、遺言を作成した後に、変更後の内容の遺言書を作成すれば、既存の遺言書と内容が抵触する範囲において、後から作成した遺言書が効力を生じることになります。
変更の場合の遺言の方式は、必ずしも遺言を作成した方式によらなければならないものではありません。つまり、公正証書遺言を自筆証書遺言で変更することもできますし、その逆も可能です。
遺言書を自宅に置いておくと、家族がうっかり捨ててしまったり、場所を忘れてしまったりとトラブルが起きがちです。後の人のために遺言を書くのであれば、適切な保管方法を選ぶことも大切です。
ご不明点等お気軽にご相談ください。