相続登記の申請義務化に伴い成立した相続土地国庫帰属法の概要
 

こんにちは、今回は相談事例を通じて、相続土地国庫帰属法の概要をご紹介します。

◆ご相談内容◆

法改正により、相続登記の申請が義務化されることになりましたが、要らない不動産は相続したくありません。相続せずに放棄したいのですが、可能でしょうか?

◆詳細解説◆

結論から申し上げますと、現行法上、要らない不動産を放棄することはできません。
ただし、相続登記の申請義務化(施行開始は、2021年4月28日公布から3年以内の日)に伴い、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下、「相続土地国庫帰属法」といいます)が成立しました。
放棄が可能になった訳ではありませんが、所定の要件を満たす不動産に限り、所定の手続きを取れば、相続した不動産を国へ引き渡すことが可能となります。

所定の要件を満たす不動産は土地に限られます。建物は対象外です。土地の要件は、以下のいずれにも該当しないことです。
・建物の存する土地
・担保権又は使用・収益を目的とする権利が設定されている土地
・通路等の他人による使用が予定されている土地
・土壌汚染対策法に規定する特定有害物質により汚染されている土地
・境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲に争いがある土地
・管理するのに過分の費用又は労力を要する崖がある土地
・工作物、車両又は樹木等が地上に存する土地
・除去が必要な埋設物が地下に存する土地
・隣地所有者と争訟によらなければ管理又は処分をすることができない土地
・以上に定めるほか、管理又は処分をするにつき過分の費用又は労力を要する土地

なお、相続土地国庫帰属法は、2021年4月28日に公布され、公布後2年以内に施行されます。

ご不明点等お気軽にご相談ください。