土地やアパートなど不動産の相続について思うこと
 

こんにちは、テラコーポレーション(TERAcorporation)の赫(テラシ)です。
今日は相続コンサルタントの立場から見た、土地やアパートなど不動産資産の相続問題について話していきたいと思います。

日本では相続について余り知識が無い方がお子様への相続を考える場合、お子様にとって不公平にならないように、全ての財産を均等に分けようとお考えになる方が非常に多く、不動産をお持ちの方が亡くなられた場合、被相続人が所有していた不動産を、相続人が持分で相続するケースがほとんどです。
法律用語は解りにくいので少し嚙み砕いて説明しますと、例えば先に父が亡くなり、その後に母が亡くなって、長男と次男の2人が母の財産を相続する場合、対象になる実家の土地建物を所有する権利(以下、所有権)を長男が50%、次男が50%というように分けることを持分で相続すると言いますが、実はそれは余り望ましいやり方ではありません。

持分による共同所有はトラブルの種になることが多い

持分で相続するということは、土地や建物の権利を持っている方が複数いるということになります。
例えば、相続が発生して実家の土地建物の所有権を長男と次男が50%づつ相続し「長男は独身で亡くなった両親と同居していたけれど、次男は結婚して外に家を買ってそちらに住んでいる」というようなケースの場合、本来、長男は次男に対して、次男が相続した権利分相応の賃料を支払う必要があります。
しかし、長男が両親と同居していた時に親に賃料を払っていなかった場合、自分から次男に対し「半分はお前の持ち物だから、ここを誰かに貸した場合にもらえる家賃の半額ぐらいのお金を毎月渡すよ」と言い出すケースは非常に稀です。かと言って、次男から長男へ「ここの土地建物の半分は俺に権利があるわけだから、家賃としてここを誰かに貸した場合にもらえる家賃の半額を毎月払ってくれ」とも言いにくいところがあります。
そうなると、次男は相続した不動産に関して権利を持っていても活用することができず、かと言って収入も増えず、むしろ固定資産税の負担などで支払いだけが増えるということになってしまいます。
ですので、このようなケースの場合、「長男が次男の分の固定資産税は支払うが、それ以外のお金は払わない」ということになる場合が多いですが、そのような形態は、そもそも長男に対する次男の思いやりや遠慮で成り立っていることがほとんどですので、長男も次男も亡くなって代が変わった後などに、それぞれの相続人が残された不動産について揉める可能性が高いんです。
長男と次男は兄弟ですので、話し合いもできたでしょうし、思いやりも持てたかもしれませんが、例えば兄弟ともに亡くなった後、「長男の権利は息子が相続したが、その息子も亡くなって息子の奥さんが相続している。一方、次男の権利は奥さんの妹さんのお子さんの配偶者が相続している」といった場合もある訳です。
そうなると、お互い面識が一度もないなんてこともある訳で、片やそのまま実家に住み続けたい、片や土地建物を売却して現金を得たいとかいうことになると、話し合いで折り合いがつかず裁判沙汰になってしまうことが多いということになります。

持分で共同所有するのがダメなら、分割してしまえばいい?

別の方法として「土地を分割して、相続人がそれぞれ所有する」という方法もありますが、これも正直、余りおすすめできる方法ではありません。分割してそれぞれ所有することは資産活用の観点から見ると大きな損失になることが多いです。
土地の活用方法の代表的なものとして、「賃貸アパートを建てて人に貸す」いわゆる「賃貸経営」がありますが、現行の建築基準法では、建物を建てる際に一定の割合で空き地を設けなければならなかったり、避難経路として一定の幅の通路を設けなければならなかったりします。なので、土地を二つや三つに分割してそれぞれに建物を建てる場合だと、土地を分割せずに一つの土地に建物を建てる方が、建物の床面積を大きくとれるケースがほとんどなのです。
加えて、スケールメリットを享受できるため、建築費の坪単価も下がります。つまり、土地を活用するなら、分割せずにまとめて活用した方が事業の採算性が良いということになる訳です。それも多少ではなく、大幅に変わってくる場合が多いです。
長くなってしまいますので詳細は割愛しますが、土地を分割すると相続税の節税もしにくくなります。

持分で相続するのも将来的なトラブルの元、かと言って土地を分割するのも良くない。結局、不動産資産は一人の相続人がすべての権利を相続して、他の相続人は別の財産(例えば金銭や株など)を受け取るのが望ましいということになります。
でも、国土が狭い日本では土地の価値が高く、一人の相続人が土地のすべての権利を相続すると、他の相続人にそれに見合った財産が渡せないという問題があります。この問題を解決するには、被相続人が元気な間に相続について家族で話し合いを持ち、生前に準備をすることが必要になります。

では、どのように準備をすれば良いのか。次回、そのお話をしたいと思います。
このブログを読んでいただいている皆さんの相続がすべて、円満相続になると良いですね。

※最適な方法は土地の条件によりさまざまです、可能なら専門家に相談をしてみることをオススメします。